誰の映画?/「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」
うーむ…
…こういうのって、もしかして、「もたもた」って言うんでは?…
―――――
あ、
―――――
いやいや、本当に「もたもた」ではないんですよ。
―――――
大サービス満天の一大娯楽巨編です。
―――――
うっすらと「あれぇ…なんだか…?」って感じた、という、今日は、そんなお話です。
―――――
「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝」です。
―――――
紀元前数百年、世界征服を狙う皇帝ハン(ジェット・リー:明らかに秦の始皇帝がモデル)は、自分を裏切ったとして将軍ミンを八つ裂きの刑にするが、密かにミンと通じていた女官ツイ・ユアン(ミシェル・ヨー)に毒を盛られ、永遠の眠りにつく。
時は下って1946年。
エジプトのミイラ退治で名を馳せたリック・オコーネル(ブレンダン・フレイザー)とエヴリン(マリア・ベロ。前ニ作までのレイチェル・ワイズから役を引き継ぎました。TV「ER」の女医さん、「コヨーテ・アグリー」で、バーの女マスター、メル・ギブソンの「ペイバック」で娼婦、と多才な人)夫妻の元に、英国政府から極秘の依頼が。
古来より伝わる秘宝、巨大なダイヤモンドを中国政府に返還するため、「運び役」を引き受けてほしいというのです。
折しも、その中国では、リックとエヴリン二人の息子で、親の影響でしょうか、遺跡探しに熱中するアレックス(ルーク・フォード)が、発掘の責任者ウィルソン教授と共に、皇帝の墳墓を見つけて、小躍りしておりました…
―――――
一作目とニ作目の監督がスティーブン・ソマーズ(一作目では共同で、ニ作目では単独で脚本も。実は今回の「ハムナプトラ3」もクレジットはされてませんが、どうやら最初の脚本制作に関わったようです)。
―――――
この前ニ作が、とにかく良かったんです。
―――――
もともと1932年制作の怪奇映画、「ミイラ再生」のリメイクから始まったシリーズですが、原典を書き換えるに当たって、「料理の仕方」が上手かった。
―――――
数千年を経て、報われぬ愛のために復活する「哀しきミイラ男」の恐怖…っていうロマンティックな設定を、えいや!っとばかりに脇へやり、猛スピードで展開する、大アトラクション映画にしました。
―――――
その、思い切りのよかったこと!
―――――
まず、これに拍手でした!
―――――
それまで、コメディアンなのか俳優なのか、何をやっても、どっちつかずだったブレンダン・フレイザーを、「コミカルな演技も出来るアクション・スター」に押し上げたのが、ソマーズです。
―――――
ずっと同じ監督でやって欲しかったなぁ。
―――――
今回の監督ロブ・コーエン」には、履歴として、ヴィン・ディーゼル主演のめちゃめちゃおもろいアクション・スパイ映画「トリプルX」がありまして、実績のない人ではないんですけど…
―――――
本作は、前のニ作が持っていたような、圧倒的な爆発力に欠けている(気がする…程度ですけども)
―――――
それに、この「ハムナプトラ3」、なにがポイントと言って、「家族の姿」なんですよ。
―――――
オコーネル一家が、大冒険を通して、強い結び付きを確かめ合う、っていう。…
―――――
コーエン監督は低予算ゲリラ的大当たり映画「ワイルド・スピード」の監督でもあるんですけど、
―――――
つまり、アイデア勝負で、変わったことして「一発、儲けてやれ!」っていうとき、いい味を出すんです。
変化球の得意な人。
―――――
だから、逆に言うと、どうも「定石を踏まえてやってくれ」って言われると、実力の発揮できない監督さんなんでないだろか。
―――――
こういう映画は、例えばマーティン・キャンベルの「マスク・オブ・ゾロ」がそうだったように、徹底して「定石」を踏んで欲しい。
―――――
「ああっ! ここでああしてくれたら、もっと盛り上がるのに!」…っていう場面が、けっこうあった、ような気が…
―――――
ジョナサン役のジョン・ハンナがまた出てるのは、うれしいけど、奥さんのエヴリン役も、ニ作目までのレイチェル・ワイズがコミカルな感じを盛り立ててくれて、よかったなぁ。
―――――
あのねぇ、アメリカ映画って、ま、お金があるんだから当然ですが、脚本も、長い時間をかけて、必要ならどんどんライターを代えて練り上げるし(ソマーズが、この三作目の第一稿を書いたのは、2001年)、それにアクション場面なんかをいちばんかっこよく撮るために、アクション専門の演出家が居たりするでしょ(有名なところでは、「マトリックス」シリーズのユエン・ウーピン)。
―――――
もちろん最後にカメラの位置を決めたり、まとめあげるのは、監督の仕事だろうけど、極端に言っちゃうと、最終的な監督が誰であろうと、「そこそこのもの」は出来るように、スタッフが揃ってる。
―――――
典型的な例が「スターウォーズ/ジェダイの復讐」です。
―――――
はっきり言って、たいした映画じゃないでしょう?
―――――
あの作品の見所は、ひとえにSFXにあり、それをまとめあげたのは、制作総指揮のジョージ・ルーカスの仕事です。
―――――
監督がリチャード・マーカンドだなんて、「それ、だれ?」って感じじゃないっすか?
―――――
資金が潤沢にあって、脚本にも、撮影にも時間をかける。必要な人材と機材が揃っているから、まとめ役としての監督は誰でもいい。
―――――
こういうとこが、羨ましくも「ズルい!」と思わせるとこだなぁ。
―――――
「スターウォーズ」で足りなければ、もっと決定的な例を挙げましょか。
―――――
「風と共に去りぬ」ですよ。
―――――
監督はヴィクター・フレミングはじめ三人だし(監督賞を取ったのは、フレミングひとり)、脚本なんか、スコット・フィッツジェラルドを含めて六人もいる!
もう「誰の映画だ!?」ってとこでしょう?
―――――
「ハムナプトラ3」も、ちょっと、そんな匂いがある、と、
言いたいわけです。
―――――
監督が優秀っていうよりは、練り上げた脚本とアクション・特撮のスタッフが、「腕自慢」の連中だ、ってことじゃないのかなー。
―――――
監督ロブ・コーエンは、その腕自慢の経験豊富なスタッフに囲まれて、ちと身の置き所が狭かった、と、
そんなところではないのか?、と、
―――――
あー、この脚本の、このセリフだけど、やや不自然だから、こういじったら…
…なに? 必要ない?
あ、そ。
あー、あのアクション・シーンだけどクローズアップを入れたいから…
なに? バスト・ショットでいい?
あ、そ。
―――――
だいぶ以前ですけど、現代思想家の柄谷行人さんが、「映画っていうのは、もはや完全に共同作業の産物なんだから、監督がどーしたこーした、って“作家主義”で見ること自体が、もう古い!」という意味のことをおっしゃっていて、「いや、それは、違うだろう」と、思いましたです。
―――――
だって、この映画にも、監督が苦労したらしい跡を見ましたもの。
―――――
あの兵馬俑(へいばよう!)からミイラ兵士の軍勢が立ち上がってくるところとか、いや、見所は多いんですよ。
―――――
きょうの僕の駄弁について、これから見る方は、「あー、くだらない小さいことにこだわってる」と、思ってください。
―――――
実際、盛り上がる楽しい映画でございますんで…
―――――
(こんだけ喋っちゃってからフォローしても、若干、遅いかな?)
―――――
Jack
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 死の傑作が遠からず/「僕の初恋をキミに捧ぐ」(2009.11.13)
- なぜ、「あの曲」を!/「パイレーツ・ロック」(2009.11.07)
- 過渡の男/「ワイルド・スピード MAX」(2009.10.22)
- 空洞/「しんぼる」(2009.10.16)
- 夢見るように語らせて/「ココ・アヴァン・シャネル」(2009.10.08)


最近のコメント