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ワイドショー/「バンテージポイント」

スペイン、サラマンカ。世界遺産として旧市街が保存されている、大学都市。

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このサラマンカのマヨール広場に米国のアシュトン大統領(ウィリアム・ハートを迎えて公開セレモニーが開かれます。

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「世界平和」にとって、重大な条約調印のセレモニー。

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150ヵ国以上のアラブとアフリカ、西欧諸国を含む国々が「対テロ」で協調しようというのです。

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だが、数千の人でごった返す中、事件は起こる。大統領が狙撃される。

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「バンテージポイント」です。

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ここから、この映画は、「マルチビュー」とも言うべき構成を取り始める。

シークレット・サービスの捜査官トーマス・バーンズ(デニス・クエイド)は、狙撃の次の瞬間、大統領に近づいた男を取り押さえる。

旅行客ハワード(フォレスト・ウィテカー)はSONYのハンディカムを持って、広場を撮影していた(コロムビア・ピクチャーズの映画です)。
彼のカメラには、ある決定的な一瞬が…

その他、地元の警官、

母親に連れられた小さな娘アナ

そして、テレビ局のディレクター(シガーニー・ウィーバー)など。

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事件を目撃した人、現場に居合わせた人、多数の視点で、同じ時刻、複数の場面が描かれる(と、ここまで言うと、「ははん」てピンと来る人もいるだろうなぁ)。

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如何にも錯綜したストーリーで、登場人物を紹介するのも骨です。でも、

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こりゃあ、あれですね、よくひねってあるけど、完全に「24」を意識してますね。

「時間操作の工夫」と「多重視点から追うひとつの事件」ですからね。

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携帯電話(iPhoneかな)の使い方なんて、ジャック・バウアーと敵方のせめぎ合い、そのものです。

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様々な「びっくり」が用意してあって、視点と時間が動くごとに、卵の殻を剥くように「分かってくる」仕組みだけど、趣向が分かっても、なぜか、あんまり、ドキドキしない。なぜたろう?…

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「24」って、映画に真似されるほど面白いですか?

僕は、どうしても、いまいちノリきれないんですけども。

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冒頭で9.11の話しが出てくる。

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まだ10年も経ってないあの大惨事から「24」を発案し(明らかにそうでしょう)、こういう映画まで作っちゃう。

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そこが、「アメリカという国」のタフネスなとこなんだけど、そういうタフネスぶりは、彼らの、あんな大事件を経験しても変わろうとしない(いや、凄惨な事件だったからこそ、かえって自らの「理想」に意固地になる)ところを見せつけられて、こちらは、なんとなく、しらけていくばかりです。いったい、どういうことでしょう?

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引っかかるのはですね、「24」もこの映画も、「難しいことは置いといて、まず“悪人”をやっつけましょう」っていう設定になってることで、これは、かつての「ダイ・ハード」なんかと、よく似てる(ほとんど同じ)発想のように思えます。

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しかし、「ダイ・ハード」が、「ヒーロー不在」、ベトナム以後、自信を失い、すべてのものを「単純に信じる」ことが出来なくなっていた米国で、なんとかしようと工夫に工夫を繰り返し、やっと作り上げた、「娯楽の先導者」であったのに対し、「24」やこの映画は、どうも、いまひとつ、なんと言うか、その、生臭い。

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「ダイ・ハード」の目的が「混沌たる世界情勢を活用して、面白映画を撮ってやれ」だったのに引き換え、こちらは、(「ロード・オブ・ウォー」のときにも触れましたけど)、「娯楽の皮をかぶった何か別の種類の映画」と言えると思います。

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「24」について、ついでに言えば、あれはアメリカ版「爆弾三勇士」とでも言うか(「爆弾三勇士」については、めんどくさいから、Wikipedia見て、お調べください)、イラク戦争やアフガン情勢が一向に好転しないことにイラつく米国人たちの「溜飲を下げる」ことが、はっきり「狙い」だ、と僕は、そう思っています。

単なる娯楽番組ではない、と思う。

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「単なる娯楽じゃない」から、一身を投げ売って、犠牲的行為に走る主人公を、「ヒーローに見立てる」ことが出来るわけで、そういうのは、やっぱり生臭過ぎて、ボカ、どうしてもついて行けない。

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話しがだいぶ逸れました。

この「バンテージポイント」、監督のピート・トラビスはテレビの世界から移ってきた新鋭。脚本のバリー・L・レヴィも、テレビの制作総指揮をしていた人で、映画の台本なんて書くのは、事実上初めて。

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初めてにしては、出来は悪くない。

かなり、頑張ってると思います。が、

テレビマンだったと言われて、ようやく「妙な生臭さ」の正体が、割れた気がする。

要するにゴシップ的というか、ワイドショー的というか、「わざわざ映画で、カネかけてやるような中身じゃないよ」、と、ま、そう言いたくなるわけなんで。

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思い出す話しがあります。

第二次大戦中のこと。
ヒッチコックが撮った「海外特派員」という、ナチスが悪役の映画を、どうやってかナチの宣伝相ゲッベルスが手に入れて、大好きで見ていたという逸話があります。

「この映画は純粋なお遊びだからね」と、ヒッチコックは言いました。「そこがゲッベルスもナチであることを忘れてたのしめたのではないかな」(「映画術」(山田宏一・蓮實重彦訳:晶文社)

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願わくば、トラビス監督も脚本家のレヴィも、「世界情勢に一石投じてやれ」なんていう欲張りな態度を捨てて(ワイドショー的、っていうのは、意外に政治的だったり、へんにねじ曲がった理想主義を、さも世慣れたような態度の裏に、隠し持っていたりするものです)、才能がありそうなんだから、本当の意味で「お遊び」に徹してみていただきたい、と。

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そのように、思うんですが…

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(それとも、理想派崩れのワイドショーマンたちに、いくらそんなこと言っても、無駄でしょうか)

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(ヒーロー不在の「暗黒時代」を描いた「ダークナイト」に、ものすごいリアリティを覚えたあとだけに、この映画の「したたかなつもりの理想主義」が古くさく見えたりしますけど)

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Jack

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